『不易流行と武士道2021 ~標準治療を重要視する!~

 深秋の候、皆様におかれましては益々ご清祥のことと存じます。
 さて、『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』もあと1ヶ月を切るところまで参りました。本日は「標準治療を重要視する!」というタイトルでお手紙をお届け致します。

 一頃、「標準治療は最善最高」という言葉がブームのように展開されたが、このフレーズの発信元の中には例の悪質な一部のグループもいる。

 彼らの中の、さらに限られた人々のバックグラウンドを見ると、がん医療に思想信条を持ち込み、がん医療を政争の具にしてきた人々がいることがわかった。

 しかも彼らは悪質なクリニックの免疫療法や代替療法をクローズアップしたうえで、あえて真剣に取り組まれている免疫療法や代替医療全体を叩いたり貶めたりを重ねてきた。
 その理由の1つは日本のがん医療を海外に比べて周回遅れにしようと企てているという信じられないものもあった。

 そもそもは2016年に一部の悪質なグループにそそのかされてしまった人たちが、がん撲滅サミットに対して安易に妨害活動を行ってきたことで、私の中でがんとの戦いのイメージと局面がガラリと変わったのだ。

 しかも、そのグループの1人は専門医の立場を利用して、大手新聞社の医療記事の中にもサミットに関するねつ造記事を掲載したのである。その結果、それがねつ造であることを指摘した私に当時の大手紙の担当部長は平伏して謝罪したのち、その悪質な専門医を大手新聞社から出禁処分にしている。

 それだけではない。どうも、そのグループの背後にはナショナルフラッグの影がチラついている。いや、チラつくどころかコントロールさえしているフシがあることがわかってきた。

 というのも、こうした悪質なグループの論調とは一線を画すべき人々の中には私に「家族が免疫療法で亡くなった。だから免疫療法を放置できないんですよ」と涙を浮かべて訴えた医療界のリーダーもいた。

 だが後で、そのご家族のことを知っている別の医師は私にこう真実を伝えてきた。
「あの方のご家族は結局、標準治療で最期を迎えられたのです。免疫療法ができない状態だったのです」
 私は思わず両手を合わせて、そのご家族の方のご冥福をお祈りしたが、同時に、涙ながらに免疫療法がインチキだと訴えた、その人物に対して怒りが込み上げてくるのを禁じ得なかった。

 『標準治療最善最高』運動を推進するために、そのような話までねつ造するのか、と。

 なぜ、そういうことをしてまで標準治療を最高最善と主張しようとするのか。しかも現在、抗がん剤治療のあとに猛烈な副作用に苦しむ患者の人たちがいるというのに、よく最高最善などと言えたものだ、と。

 2016年の騒動を契機に私は不当な糾弾を受けてしまった2人の医師の方に対して、自身に責を感じながらも同時に真実を知れば知るほどこう考えるようになった。

 『がん医療の中に邪な考えを持ち込む人物たちがいるのなら、がん医療そのものを正さなければならない。』

 だから私はペンを剣に持ち替えて立ち上がることにしたのである。

 標準治療は最善最高!? 

 これから「もっと最善最高の標準治療を目指そう」というのならわかるが、あたかも標準治療は最終形態に入っており、これですべてのがん種の方々が治せるかのような幻想を抱かせている、というなら片腹痛いと言わざるをえない。

 本当に標準治療が最善最高なら、なぜ、がんは国民病になってしまったのか?
 がん患者の方々を最善最高の治療で治していれば、3人に1人亡くならずに済んでいるのではないのか。

 希少がん、難治性がんで無念の最期を迎えた人々が、どれだけ多いことか。
 希少がん、難治性がんを標準治療がどれだけカバーできるというのか。

 今、我々が先端医療を支援しているのは、この中から少しでも患者の体力的負担が軽減化し、なおかつ社会復帰が1日でも早く実現しないか、との理念からである。
 だから我々も本気でやっているのだ。

 話は変わるが、虎の尾を踏むとは中国の易経に出てくる言葉だ。
 当然、意図があって踏む側にもその覚悟がなければならない。逆襲、すなわちリベンジを食らって被害者の顔をするのは、武士道の風上にも置けないのである。

 今からでも遅くはない。

 本気でナショナルフラッグも一部の悪質なグループも心を入れ替えて、抗がん剤の副作用の軽減化にぜひ取り組んではどうだろう。

 そのために私は心からの応援を惜しまない。そういうレベルアップを目指すという意味ならオールジャパンで標準治療をブラッシュアップしなければならないのは当然ではないか。

 だが、前述のようにナショナルフラッグさえも相変わらず今も標準治療は最善最高であり、これだけやっていれば十分で、他の治療を受けたり日本人が欧米のように代替療法と向き合うことは絶対に許さない。

 このように標準治療のみを善、それ以外を悪とする二元対立のみを主張するのであれば、私は遠慮なく厚労省に対し患者ファーストを目指す意味でも『国立がん研究センター改革案』を提出することにしよう。もちろん人事、予算配分にまでテーマは及ぶことになる。

 その上で、もう1点、付け加えるとするならば、緩和ケア病棟が国立がん研究センターにないのはどうしてか? 緩和も治療なら緩和医療をさらにバージョンアップしなくてもよいのだろうか。

 標準治療最善最高キャンペーンよりも、まずはこうしたことにしっかりとナショナルフラッグに向き合っていただきたいものだ。

 時間がかかるのではないかと危惧する声も聞こえそうだが、ナニ、どうということはない。患者ファーストに向かって、一切動く気配がないのであれば、標準治療のレベルアップが実現するまで虎の歩みのように執念深く前述のように国立がん研究センター改革案を提言し続けるだけのことだ。

 虎の尾を踏むとは、すなわち、こういうことなのである。

 なお、これまでがん撲滅サミットはがん患者やご家族の通院やサミットに参加される際の交通費や宿泊費を少しでも軽減していただきたい。がん医療の情報はフリーで手に入れる時代に入っているという理念から入場無料を貫いてきた。

 現在、がん患者の方々にサミットと称して高額な入場料金を求める集いがあると聞くし、事実、混同した方が事務局に問い合わせをしてくるという。だからあえて私は主張しよう。

 我々の『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』は入場無料である。これを貫くのはご協賛社、支援者の方のご理解をいただくために主催者が地を這うような努力を積み重ねているのだ。
 したがって類似のサミットとは、まったく別物である。

 紅葉の美しい季節となりましたが、皆様くれぐれもご自愛ください。

追伸、世界がん撲滅サミット2021 in OSAKAの検索関連キーワードを自由に操作しているグループがいるとの情報を得た。これについては公取も独禁法の観点から大変興味を持っているとの話も入手している。

 更に、これは精査が必要なのだが例の悪質な一部のグループの中には外資系製薬会社と海外の医療機関と結んで活動している人物も含まれているとの情報も届いている。いや外資系製薬会社や海外の医療機関とタイアップすることは何一つ問題はない。しかしそれが行き過ぎるあまり日本の医療の発展を妨げるような活動をその人物が行なっているのであれば問題だろう。

 今後は実態調査をさらに深掘りしてゆきたい。まもなく多様性が生んだ緊張状態はやがて調和をもたらすことだろう。患者の皆さんのためにオールジャパンの力を結集して、ぜひ『最善最高を目指していく標準治療』にしていこうではないか。
 そういう意味で私は標準治療を誰よりも重要視していると、あえて主張しておこう。

中見利男拝

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