残暑お見舞い申し上げます。
日本列島も涼しい秋を迎えようとしているエリアと残暑厳しきエリアに分かれ始めております。
皆様、どうぞご自愛ください。
本日は『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』実行委員会事務局の了解をいただき、9月2日に配信された中見利男氏の記事をお届けさせていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』(https://cancer-zero.com)が2021年12月5日(日)大阪国際会議場5F メインホールにて開催される。
本日は、その『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』提唱者で代表顧問の中見利男氏(作家・ジャーナリスト)との一問一答をご紹介したい。
――今大会は大阪初開催ですね。どのような大会にしていかれるのでしょうか。
中見 まず本日はお時間をお取りくださいましてありがとうございます。
おっしゃる通り、今年は初の大阪開催です。私はもともと江戸時代からがん治療などの先端医療に取り組んできた大阪がいよいよ日本の医療界を再びリードする時代がやってきたのだと考えます。
その号砲こそが『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』だと思います。
――そのあたりのこと、もう少し具体的にお話いただけますか?
中見 なぜなら2025年には未来の医療をテーマの1つにした大阪・関西万博が開催され、インフラ整備や様々な規制改革が大阪の地で行われるんですね。そうしたことから大阪が医療のルネッサンス(※再生や原点回帰)を起こすリーダーになると予想されるからです。
たとえば新型コロナウイルス対応ワクチンにしてもそうですが、10月にすい臓がん患者の皆様にとって必要な抗がん剤アブラキサンの供給停止が予想されるなど、これからは医薬品の安全保障が脅かされる時代に突入したのです。これまでは米国で開発された医薬品の後追い的な承認を重ねていれば安心安全だったのですが、突然供給がストップすればたちまちのうちに患者の皆さんの命が危険にさらされてしまうのです。
もっとはっきり申し上げれば、これまでは安直に日本は米国の隷属的承認さえやっていれば良かったのですが、今後は医療の安全保障の観点からも国産、いわば日の丸創薬の方向にシフトしなければなりません。そのうえで積極的に迅速に審査する時代へと大きく転換し始めたといえます。
――たとえば大阪は、その鍵を握っているということですか?
中見 そうですね。先ほど申し上げたように未来医療に積極的に取り組んできたのが大阪であり、その大阪が大阪・関西万博を機に規制改革に挑戦していく大都市として名乗りを上げるのです。
その中には医療の規制改革も当然、含まれなければなりません。私は大阪こそ日の丸創薬にチャレンジしていくべきだと思っています。『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』は、その重要なサポートさせていただく大会にして参ります。
――つまり医薬品の安全供給を維持するための重要なエリアが大阪になるということですか?
中見 その通りです。大阪だけでなく関西に目を転じてみれば、ノーベル賞を受賞したiPS細胞や免疫チェックポイント阻害剤は京都大学から生まれました。また大阪の隣の兵庫県神戸市にはスパコン『富岳』があります。しかも神戸は医療産業都市を打ち出しています。この神戸の『富岳』を存分に活用して日の丸創薬を推進していく。またAIホスピタルを大阪がリードしていくなど、大阪・関西のポテンシャルは素晴らしいと思います。
――サミットに関連して今年から『抗がん剤副作用軽減プロジェクト』と『すい臓がんブレースクルー・プロジェクト』を開始されるそうですね。先ほどアブラキサンの供給停止の一件についてお話がありましたが、サミットとしてアクションは起こされたのですか?
中見 もちろんです。すでに日本の窓口になっている大鵬薬品工業株式会社の交渉担当部長が旧知の関係でしたので、代替医療はもちろんですが、早急にアブラキサンの安定供給に向けた米国企業との交渉内容をできる限り、迅速にすい臓がん患者の皆さんやご家族の皆さんと共有していただきたい。そして厚労省との連携や大鵬薬品工業と先方との交渉の進展について、さらに踏み込んだ情報発信をしてほしいと働きかけを行いました。厚労省の方は医政局経済課の林課長が中心になって対応策を進めておられるようですが、現在の拠点工場から別の工場に供給ラインを替えて国内に導入しようということになっています。
しかし、工場を替えても品質が安定しているかどうかの審査も必要になりますが、これを迅速化しようという議論が始まっているとの情報です。我々も政府と政府高官に直接交渉を開始しています。まず自分の言葉で熱い思いを伝えていかなければ、大きな組織を動かすことは困難ですからね。
――そうすると『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』は単なるイベントではなく、がん医療の課題を解決したり、研究者や患者を支援するサポート的な役割を担っていくということですか。
中見 そもそも『がん撲滅サミット』を提唱したときの構想がそれでした。何故、国民病になるまで放置され、なぜ誰も撲滅しようという声をあげないのか、当時、私には不思議でなりませんでした。誰しも自分の周囲には少なくとも1人や2人の方ががんで悩んだり、苦しんだり、闘病をしているはずなのに医療者はもちろん国民や政府からもそういうムーブメントが起きていない。いったい何が原因なのか? 純粋に不思議でなりませんでした。
――そういう中で2016年に騒動がありましたね。
中見 よく覚えていただいていますね。その通りです。当時から難治性がんや希少がんの患者の皆さんが打つ手がないと嘆いておられることを知っていたので、代替医療の名医の方に登壇をお願いしたのです。しかし思わぬ方向から抗議がきたことでお騒がせしてしまったことについては私自身に責があります。
しかし、この一件があったからこそ当時、疑問に思っていたこと。なぜ、がんを撲滅しようという声があがらないのか。その原因がはっきりしました。がんとの戦いはもちろん困難を極めているのですが、同時に様々な既得権益構造ががん医療の前に横たわっていたのです。我々は2017年から危機管理チームを立ち上げて彼らと共に、この問題について徹底的に調査に乗り出しました。
その結果、標準治療を絶対的なものに確立しようと不当に誹謗中傷やSNSで嫌がらせをしている悪質なグループの存在にたどり着いたのです。
――なぜ、そのような行為を行う必要があるのでしょうか。
中見 本当に不適切な治療行為をやっているクリニックや医師に対するけん制という領域を超えて、彼らは日本発の創薬や新しい治療法が出てくること自体を妨害することで、標準治療の既得権益を守ろうと考えていたからです。それは少なくとも三重構造になっていて、悪質なグループと彼らを支えている組織と、さらに大きな組織がそこに存在しています。
――まるでサスペンス小説ですね。
中見 それを越えていますよ。彼らの手口は標準治療の既得権益を守るどころか、今や日本の医療の発展さえも妨害しているに等しいのです。
――それはやりすぎですね。なるほど、だから未来医療に取り組む大阪がキーを握っているというわけですか。
中見 もちろん大阪の人々の目指していることに対しても彼らは嫌がらせや誹謗中傷をSNS等で開始するでしょう。我々には大阪をお守りする覚悟とノウハウがあります。しかし皆さんも、彼らの動きをぜひ注視しておいてください。今後、益々日本のがん医療を遅らせている元凶の存在が明らかになるでしょう。
――本当に『がん撲滅サミット』は戦ってきたのですね。
中見 戦ってきたのではなく一歩も引かずに前進を続けてきたのです。皆様の力強いご支援と大阪の皆様のお力添えによって今大会は日本、米国、EU、香港と登壇者の方々も少しずつ世界規模で参加していただけるところまでたどり着きました。これから、いよいよすべてのがん種にリベンジを実行します。本格的にがんをコントロールする時代を呼び込みます。加えて、これまで患者の皆さんは鎖国のような情報体制に置かれていました。しかし、これからは世界的医療者、研究者の先端の考えや情報を直接手に入れていただきたいのです。そのうえでご自身の治療選択の知識の1つにしていただきたいと思います。
――なるほど。情報鎖国ですか。冗談ではなく幕末みたいですね。
中見 これまでのがん医療を絶対に変えたくない抵抗勢力と患者に少しでも負担のない低侵襲の新しい薬品や治療法を追求する改革派とのせめぎ合いを想像されておられるのでしょうか。
――もちろんです。これまでのお話しでは、まさにその様相ですよ。
中見 ダイバーシティという言葉がありますね。多様性です。たとえば東京オリンピックの閉会式の責任者の方を含めて、今回『多様性と調和』ということが強調されましたが、彼らは『多様性がすぐに調和』に移行すると考えている。だから閉会式を見ている側に違和感が訪れるのです。実際は『多様性』の次に『緊張状態』が生まれるのです。そのあとにようやく『調和』が訪れる。
つまり緊張状態のないところに真の調和など生まれないのです。私はその緊張状態が今だと考えます。その緊張状態を戦いにしないためにも理念という縦軸を貫き続ける必要があります。揺るがない理念の下で、ようやくがん医療にも政府、医療者、患者の『多様性と調和』が生まれるのだと信じています。それこそがプレシジョン医療です。そのためにも古い考え方や因習を改めようではありませんか。標準治療が終わった人しかゲノム医療が受けられないなどという発想は古い地図そのものです。我々はニューフロンティアを目指すために新しい地図を手に入れなければなりません。新しい地図とは何かといえば、それこそ仕組みを変えることそのものです。ゲノム医療、AIホスピタル、プレシジョン医療、低侵襲治療など、すべて新しい地図の中に書き込むのです。
なぜなら日本経済新聞の調査では、柔軟に新薬を導入している医療機関と、そうではない医療機関の間のがん患者の5年生存率はおよそ2倍の格差が出ていることが判明しています。
――多様性が調和を生むためには緊張状態を恐れてはいけないということですか? なるほどよくわかりました。最後にご来場者の皆さんに向けて一言お願いします。
中見 皆さん、これから新しい地図を世界の人々と描いていこうではありませんか。ぜひ2021年12月5日(日)午後1時に大阪国際会議場で開催される『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』でお会いしましょう。
??これからも恐れることなく前進してください。
中見 本日は長時間にわたりありがとうございました。
また『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』では、先に触れた『抗がん剤副作用軽減プロジェクト』を大阪国際がんセンター乳腺・内分泌外科の中山貴寛教授と共に開始していく。
これは抗がん剤の手足指のしびれや爪のはがれ、脱毛などを軽減化しようというもので、モデルケースを作り上げたのち、やがて全国にも拡大させていくことを検討中とのこと。
さらに将来的には抗がん剤の副作用で苦しむ人々のために吐き気、悪心、食欲減退などの副作用の身体的負担そのものを軽減化していこうという構想の下、始動するとのお話しだ。
これも本来、中見利男氏が述べたように標準治療を既得権益と考える人々こそが真っ先に取り組むべき課題だと筆者などは感じるが、そうなっていないことを見れば、彼らの眼中には患者がいないのかもしれない。ここはぜひオールジャパンで『多様性と調和』を追求すべきではないだろうか。
以上で中見利男氏(『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』代表顧問・提唱者)とのインタビューを終えるが、昨年同氏は心疾患で倒れたため『日米がん撲滅サミット2020』には参加が叶わなかったようである。そういう意味ではご自身のリベンジを賭けて今大会に臨むということだろう。それにしても7回目の大会にして『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』まで来たのだから今後とも益々サミットの構想に期待したいと思うのは筆者だけではないだろう。
皆さんもいくつもの試練を乗り越えてきたサミットだけが持つ迫力と本物感をぜひ会場で体感してみてはいかがだろうか。
皆様、『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』でお会いしましょう。
心よりお待ち申し上げております。
中見利男拝