『不易流行と武士道2023』~光は闇を貫く!~

先日、開催された『世界がん撲滅サミット2023 in OSAKA』は改めて、この国の希少がん、難治性がん対策がいかに机上論だったかに直面する大会であった。

結果論から言えば、政府主導で『希少がん、難治性がん生存プロジェクト』を緊急に立ち上げて、すい臓がん患者の皆さんに実態調査をかけるべきである。

今を振り返ること7年前に我々はすでにすい臓がん患者やステージ4の患者さんのために減量型抗がん剤治療の医師に公開セカンドオピニオンに登壇してもらうことを実行しようとしていたが、たまたまがん種の違う患者会から奇妙なことに抗議が共催団体に入ったことから、なぜか集中砲火を浴びるという、これもまた奇妙な経験をしたが、手がないと言われる患者の方々になんとか手立てがないかと検討することも、この国のがん医療界は許容しないのか、と呆然となった覚えがある。

以来、サミットは開催され続け、今大会で9年目を迎えることになった。

果たして我々がやろうとしていたことは絶対的悪だったのか? 患者を惑わす行為ことなのか? 全国的な批判の渦の中に巻き込まれるほどのことだったのか?

そこで私は当時、誹謗中傷を受けていた三好立医師や関係者の皆さんのためにある行動を起こすことにした。それについては改めて触れることにするが、今回、私はそんながん医療の闇に向かって光が差し込むのを確かにこの目で見た。

1人の研究者が2040年に実用化したいと研究を重ねている治療法を公開セカンドオピニオンですい臓がんや肉腫に苦しむ患者の方々の声をステージ上で聞いて、もっと早く実用化させる、という強い覚悟を持ってもらえたのだ。

それが世界初の開発となった生体内抗がん剤合成治療の田中克典氏である。

田中氏は2040年を2030年に前倒しをし、できるだけ実用化を加速化させたいとステージでのべたあと、公開セカンドオピニオンに参加した人々に向かってこう語りかけたのだ。

「確かに今やっているテストでは、すい臓がんに対してもひじょうに有効であることをこの場でお伝えします」

彼がそう断言した途端、会場内に安堵のため息や笑顔が広がるのを確かに私はこの目で見た。

私は素直に感動した。公開セカンドオピニオンには、やはり希望の光が差し込む力があったのだ、と。人々は、希望の光を見ることによって明日への治療の勇気を手にすることができるのだ。自分の代でなくても、次の世代の人々が助かるかもしれない。そう考えることで自分自身にも希望の光が差し込んでくることがある。私はステージ上と来場者の間に見えない強い絆が広がり、そこに人間の善意の底力を感じた。

自分だけ良ければそれでよいという人々が日本にも増えているが、私がステージ上から見た美しい光景にはまさに力をあわせて立ち向かおうとしている人々の思いが架け橋となり闇の中に光が強く差し込んでいたのだ。

そして、それは私の7年前の騒動、すなわち『がん撲滅サミット2016』に対する答えでもあった。他人を助けたいと思うとき、いつか闇の中に光は差し込むのだ。

来年はいよいよ10回記念大会『世界がん撲滅サミット2024 in OSAKA』開催である。またしばらく筆を止めていたが、いよいよこのサミットの顛末を小説にまとめる時が来たようだ。筆を剣に持ち替えて、この国の既得権益の暗雲を断ち切る。その覚悟を決めた瞬間から今日までの出来事に対してフィクションの中で新たな息吹を与えよう。私もまた闇の中で差し込む光を見つめながら一歩を踏み出していくことにしよう。皆さん、本当に「世界がん撲滅サミット2023 in OSAKA」への応援ありがとうございました。

中見利男拝

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