『不易流行と武士道2021~アブラキサン供給の現状について~』

 本日はご報告をさせていただきたい。

 8月30日の時点で10月の供給停止が予想されているアブラキサンだが、これについて下記の取り組みが開始されていることが『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』の開始した『すい臓がんブレークスルー・プロジェクト』の調査で判明した。

 まず抗がん剤「アブラキサン」の製造会社を傘下に置く米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)から9月9日以降の協議で供給停止の原因について日本側の大鵬薬品工業株式会社とBMS社の双方のトップ間で話し合いが行われるとのことだ。

 一方、厚労省医政局経済課はアブラキサンの安定供給の見通しが立つまで、すい臓がんなどの患者の皆さんに優先的に使用できるよう他のがん患者の方々に対して代替医療を徹底していく方針を通達。

 さらに医薬局では、①BMSのロシア在庫3ロット(1ロット約22万バイアル)、すなわち1ロットあたり2週間キープできる量を約1.5ヶ月分確保。
 さらに②MBS社とは別のバクスター社(Baxter)製品の導入。
 ③後発品のテバ社製(EUが承認済み)を日本に導入することを検討している。

 これに対するデメリット及びリスクを予測しておこう。
 ①BMSロシア在庫の品質安全性の確認。
 ②のBaxter社製の製造所は現在、日本1ヶ国分を調達できるだけの生産量はキープしているものの、今のところ、その効果のほどは不明である。

 また③のテバ社製の場合、品質面でのリスクヘッジという観点でみれば時間がかかるため、やはり鍵はもともとの輸入先のBMS社が握っていることに変わりはない。

 いずれにしても最大のネックはMBS社、Baxter社、テバ社の品質面の保証と日本側の品質に関する承認に要する期間次第ということだ。

 現状の大まかな動きは上記の通りだ。今回我々はすい臓がん患者の皆様をはじめとするがん患者の皆さんとの情報共有を最重要課題と位置付けて現状についてご紹介させていただいた。

 今後は米国などの海外における企業一本槍の調達や海外承認優先リスクを防ぐため、国産、日の丸創薬の力が発揮できるよう関係当局に働きかけを行って参りたい。

 また海外での突発的な供給停止に常に備えるため、厚労省の情報収集機能の強化と関連部局の設置―『医薬品調達戦略室』(仮)などの提案を先般、私から政府高官に行ったところだ。そのうえで早期解決に向けて、さらに働きかけを加速化してほしい旨をお伝えし、政府高官からも了解を得ている。

 我々は引き続き声明文や抗議文書によるのではなく、提言型、対話型の解決策を追求して参ります。

『世界がん撲滅サミット2021 in OSAKA』
すい臓がんブレークスルー・プロジェクト提唱者
中見利男拝

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