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『不易流行と武士道2018
〜第4回がん撲滅サミットへのご支援の御礼〜』
 この度は西日本豪雨被害によりお亡くなりになった皆様に心より哀悼の意を捧げさせていただきます。また被災された皆様、心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復旧、復興が進むことを祈念申し上げます。
また救援活動、復旧、復興支援に当たっておられる皆様のご活躍に心より感謝申し上げます。

 おかげ様で第4回がん撲滅サミットも一昨年の騒動やご批判にもかかわらず、前回大会に増してご支援をいただき誠にありがとうございます。ご存知の方も多いと存じますが、一昨年のサミットは、がん難民や、すい臓がんなどの難治性がんの皆様のためにも低用量抗がん剤治療と動注塞栓術(カテーテル治療)の第一人者でいらっしゃる2名の先生(この方々の、この治療は保険適用第一で行なっております)に公開セカンドオピニオンにご登壇いただく予定でした。しかしながらクリニックで自由診療を行っている医師が日本癌治療学会の市民公開講座に登壇されるのはケシカランという抗議をある患者会から学会の方にいただいたことから一連の騒動が始まりました(なかには脅迫電話をしてきた医師の方もいました)。

 そこで当該の両先生の「ご来場者にご不安を与えてはならない」との賢明なるご判断に従って、お二人とも登壇を控えることになったのです。しかしながら、そのときから、こういう治療法に希望を見出そうとされた別の患者会や患者の皆様から落胆と抗議の声が上がることになってしまいました。両先生に対してもそうですが、大変申し訳ないことだと痛感致しました。

 余談ながら、ある医師の方はサミットの後援団体に後援中止依頼状を先頭に立って送り付けられたことを当時のサミット終了後に教えられました。たとえば標準治療法(もちろん、こんな法律などないのですが)などという法律が存在して、それに我々が違反したわけでもなく、また当初、共催団体の機関決定をいただいた企画にもかかわらず、また、すでにお二人の医師の方が登壇しないことも発表され公開セカンドオピニオンそのものを中止したにもかかわらず、さらには前述のような目的で代替補完療法を紹介しようとしただけで、ここまでやるのか、と正直驚きました。まるでサミットそのものを撲滅しようという勢いでした。同時に文書を受け取った担当者も「こういう文書を送りつけてくること自体、彼らのやっていることは集会の自由を脅かす、憲法に抵触する行為ですよ」と、逆に呆れ返っておりました(その後、取材を進めていくうちに事はそう単純なものではないということがわかって参りました)。また、中には、あの騒動に便乗して医師を名乗る方が中野先生や鈴木先生、私の名前でお笑い日本がん治療学会云々と題して、持論、推論を展開されましたが、あの時も今も皆さん真剣にそれぞれの立場に立ってがん患者の皆様やがん医療の事を考えてやっておられます。書いた方は本当に医師なのかと憤慨しつつ疑問に思ったがん撲滅サミットの応援者の方が調べたところでは、ブログ主は医師を偽装した保育士の女性だったことがわかったそうです。ご調査誠にありがとうございます。ミスリードされた情報をもとに陰謀論のような推論を重ねていくとこうした内容になるようです。皆様も一度この方のブログをご覧になって果たして医師なのか、保育士の方なのか、男性なのか女性なのか、一人で書いているのか、それとも複数の方々が書いているのか、色々推論を重ねて読まれるとまた違った味わいがあるやも知れません。

 では、反省と同時に私は、ここからどういう教訓を得たのか?

 それは標準治療から外れた、それでも治療をあきらめない(本来、患者の権利としても治療をあきらめる必要などないのですが)戦略的緩和医療として前述の補完代替療法の中でも、まず保険適用になっているものを中心に取り上げ、そこに組み入れていくよう指針を作成するということです。そのうえで免疫療法を含めた新しい治療法の開発や実用化を待つ。あるいは、がんと引き分けの状態に持ち込むことで少しでも平穏な日々を取り戻していただく。これならば患者の権利として堂々と主張できるのではないかと存じます。
 もちろん戦略的に行うわけですから、主治医はもちろん緩和医療の先生方にもこうした治療に対するご理解をいただくことは当然です。なぜなら、がん医療は医療者をはじめとする方々の利権ではないからです。どんな病でも最後は治療をして社会に復帰してもらうこと。そして、これができなければ力を合わせて克服、撲滅をすべきなのです。これが医療の基本中の基本だと考えます。

 ともかく、これからの時代、大事なことは患者の皆さんの体力と精神、そして経済力に負担のない治療です。そのうえで、自費で治療を受ける方々は自己責任において、それを完遂し、医師も患者と共にがん治療を戦略的に推進していく。
 これが、私が現在たどり着いた教訓です。どこまでできるかは私自身にもわかりませんが、一昨年の騒動の責務を負う者として反省しつつも一歩一歩前進して参りたいと存じます。
 そのうえで思うことがあります。

 私も大病を何度も経験しておりますが、なぜ、がん医療はこんなにも抗議や批判が優先され、本来の治療の前進について語られることが少ないのでしょうか。標準治療は現在、最善であることは否定しません。しかし、それでも少しでも治癒する患者さんを増やし、体に負担のない標準治療を目指そうという謙虚な姿勢が必要なのではないかと存じますが、いかがでしょうか。また悪質な免疫療法についても厚労省は目を光らせておりますし、自浄作用も必要です。また悪質な免疫療法についても怒りは共通のものがあると思います。

 もちろんエビデンスは重要です。しかしながら免疫療法はすべて語るに足らずと断定される前に免疫療法を研究したり、成果を上げている方々の話や免疫療法によって寛解されたり、平穏な生活を取り戻されたがん患者の方々(実際にお会いしたことがあります)のお話をお伺いしたり取材をすること。これはジャーナリズムや研究者、またがん情報を発信されるスタッフの基本中の基本です。また優れた臨床医を私も存じておりますが、こういう方々は専門分野以外の方々との交流を大事にして自己研鑽につなげておられます。

 中村祐輔先生も指摘されていらっしゃいましたが知人の協力を得て調べてみますと、ある医師の方は免疫療法は高額だからケシカランと批判する急先鋒でありながら実際は、より高額になる可能性の高いアメリカでのセカンドオピニオンを推奨されておられるようです。また、この医師の方は、免疫療法は治験をしないため、インチキだと主張されたり、頻繁に医師主導治験の重要性を主張していらっしゃいますが、先の組織とは別に(大手製薬会社の元トップが顧問を務めておられる)治験募集、紹介会社のグループでもご活躍されておられるとのお話もお伺いしております。さらに言えば、この会社は医師主導治験や臨床研究支援をサポートしているようです。
 別にアメリカでの治療やセカンドオピニオン、そして治験募集や支援は評価されてしかるべきです。しかし、この方が、これまで繰り返してきた免疫療法をはじめとする他の治療への攻撃が異常なほど激しいものだったために、日本の免疫療法を叩いてきたのもすべてはこの組織や会社の利益誘導のためだったのか、と憤慨されておられる方が続出しているとのこと。

 あえて書きますが、厚生労働省の見解では、がん拠点病院は標準治療を行う場所でもあるが、同時に次の標準治療を生み出す場所でもあるというものです。免疫療法の臨床研究をやってはいけないとは一言も取り決めておりません。またAMED(日本医療研究開発機構)も免疫療法がインチキだから研究費を出さないのではなく、(AMED)幹部の方のお話では、予算をつけたいのだが免疫療法を正しく評価できる人材が不足しているので困っているとのお話です。今後、前向きに対応すれば良いことでしょう。

 いずれにしても、この医師の方も含めて中世暗黒時代でもないのですから、魔女狩りのような行為に走らずとも自らが携わっている最善の標準治療の成果を少しでも前進させること。そこに一医師として、患者の皆さんのためにも全力を挙げるべきなのではないかと思います。もちろん、空いた時間に所属機関の了承の下で、他の企業や組織に協力することは自由です。しかし、そうであれば利益誘導のためだったのか、などと誤解を生まないためにも、他者への攻撃、糾弾に異常なまでの執念を燃やすのではなく(関係しているその企業や組織の繁栄のためにも)、皆、患者の皆さんのことを思って頑張って応援しているのですから、そろそろ、お互いに励まし合うがん医療の世界を築いていこうではありませんか。著名な医師の方のようですから、その影響力をすべてのがん種の患者の皆さんを励ます方に活用されてみてはいかがでしょう。

 確かに敵はがんです。しかし、もしがん撲滅やがん克服の動きを阻止しようとする存在があるとすれば、またそれが『がん細胞』だけではなく他者を激しく叩いてまで自己の優位性の確立を企てる『ある人間集団』だった場合は、私だけではなく、心ある国民が勇気を出し、力を合わせて患者の権利を守るために声を上げていく必要があるのではないでしょうか。もし、このHPの記事を掲載後、私どもに対して妙なアクションが始まったなら、その人間集団の正体こそが、彼らでしょう。皆さん、冷静に観察されることです。

 私のところにも良く相談があるのですが、一部の人々(それも本来リーダーとなって皆さんを励ます立場にある人々)から嫌がらせや中傷を受けて困っておられる善意の患者さんや患者会の方がいらっしゃるようです。その皆様のためにも今後何かあれば、このHPで詳細にご報告して参ります。同時に、そういう方々も嫌がらせをされている悩みを抱え込まずに、悪質な場合は、その状況を弁護士と相談したり、自ら発信されてみてはいかがでしょうか。その人物たちのいずれ共通点や奥の院があぶり出されることでしょう。
 そして、これがあの騒動以降の取材から、私が得たもう一つの教訓です。
 悪質な治療に対する怒りは共通のものです。しかし大前提として、どうか皆が励まし合うがん医療社会を造り上げていこうではありませんか!

 皆様のご支援に心より感謝申し上げます。
 猛暑が続いておりますので、どうぞご自愛ください。
中見利男拝
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