『不易流行と武士道
〜がん撲滅サミットにおける高円宮妃殿下のおことば全文〜』 |
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皆さん、こんにちは。
さて、私が顧問を務めさせていただいている『第1回がん撲滅サミット』が、2015年6月9日〈火〉午後13時からパシフィコ横浜にて開催されました。
がんとの闘いはこれまで、医師、患者、家族の皆さんだけのものでした。しかし、いよいよ『がん撲滅サミット』によって皇室、政府、官邸、経団連、経済同友会、建設業協会、生保協会、損保協会、マスメディアほか、まさにオールジャパンの態勢が出来上がりました。
しかも、このたび我々の志にご共感をいただいた高円宮妃殿下のご来場が正式に決定し、次のようなおことばを頂戴することができました。全文をご紹介させていただきます。 |
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高円宮妃殿下おことば |
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『本日は第一回がん撲滅サミットの開催が盛大に開催され、皆様とご一緒できますことを大変うれしく思います。
日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなると言われており、あらゆる病気の中で最も死亡率が高いとうかがっております。1981年より日本人の死因第1位を占めており、国民病ともいえるかもしれません。がんは全身のあらゆる部位で発症いたしますし、初期には自覚症状がないため、今でも発見されたときにはすでに進行していて、治療が遅れるケースが多くあります。しかし、早期発見により、完全に治療、治癒することも可能な病です。
医学とがんの闘いは実に長い歴史を持っており、がんの最初の記録は紀元前1500年ごろの古代エジプトの医学書にあります。そして紀元前1400年ごろ、古代ギリシャの医聖ヒポクラテスががんに蟹(かに)を意味するカルキノスという名前をあてがえました。その数百年後に医学論を書いた学者のアウルス・コリネリウス・ケルススがカルキノスをキャンサーとラテン語に訳したのです。英語では今でもがんのことをキャンサーと呼びますが、発がん物質を意味するカルシノシンはヒポクラテスのカルキノスが語源です。
これだけ長く闘っているのですから、がんは医学にとって永遠のテーマであり、人類は終わりなき闘いを繰り広げていく運命にあるのかもしれません。進化医学の出番も増えるのかもしれません。
いずれにしろ何事においても、攻めなければ負けしかない中、撲滅を目指すぐらいの意気込みが必須と感じます。お身内にがん患者がいらっしゃる作家でジャーナリストの中見利男氏の「オールジャパンでがん撲滅に立ち上がろう」という呼びかけに、医学医療のみならずあらゆる分野の方が賛同されたことによって、ここに新たな挑戦が始まるのを心強く思っております。同じ志を持った多くの人間が同じ方向に動けば、大きなエネルギーがうまれます。かかげておられる目標の中でも、特にがん最先端医療において個々の患者、治療へ直結する医療のベストミックスを早急につくりあげていくことは重要であり、医師力を増進するのは当然として、患者力の向上を目指すのは実に意義深いことと考えます。
がんに関する先端医療や名医に関する情報を発信することや、患者主体の治療が出来る社会を再構築すること、患者や家族が的確な決断の出来る医療社会を再構築することなど、患者とその家族の立場にたって考えるのは日本の医療の本質ではないでしょうか。
インターネットを駆使したシステムや遠隔医療、遠隔治療などを含む医療は、日本のみならず医療の十分ではない国や地域に希望の光となることでしょう。その昔、医学においては視野を広く持つことが普通でしたが、研究がめざましく進み、医学が進歩した今日では分野ごとに孤立してしまっています。人間は社交的な動物であり、優れたコミュニケーション能力を有していますので、新しい時代の医療にはみながアクセスできる引き出しの多い総合的に意見交換が速やかにできる環境が整備されることを期待しております。
本日のがん撲滅サミットが学術的に実りと発展性のある大会となりますよう、またがんの撲滅、及びがん偏見の撲滅に一日でも早くつながりますよう心より願って開会式に向ける言葉と致します。』
私は感激いたしました。それは当初、がんを撲滅しようと主張した私に対して、官僚の一人は「中見さん、撲滅は刺激的すぎますよ。だいたいがんの撲滅なんかできるわけがない」と嘲笑さえ浮かべられたうえ、肝心の医師たちからも「がんは撲滅なんかできませんよ」と批判されました。しかしかつて月に行ったことのないケネディが「月へ行こう」と呼びかけたことから、アメリカ人は月に降り立つことができたのです。誰しもが不可能だと思うことを堂々と主張することを以来「ムーンショット」(月を撃つ)と称するわけですが、誰かが叫ばなければ事は動かない。そう思って主張してきたことが決して間違っていはいなかったのだ、ということを高円宮妃殿下は世界に向かって主張してくださったわけです。
『何事においても、攻めなければ負けしかない中、撲滅を目指すぐらいの意気込みは必須と感じます』
古今東西の名言の中でも超一級、超ド級の名言を開会式でいただけたこと、また1分刻みのお時間のなかで高円宮妃殿下と私だけで10分以上も拝謁させていただいたこと、奇跡的なことだったように思われます。そして、まさにがん撲滅が日本においても世界においても必須と感じた1日でした。
詳しくは『がん撲滅サミット』URLhttp://cancer-summit.jp/をご覧ください。
同時に3月より上記HP内で『がん撲滅へのチャレンジャー』という連載を始めており、ここでがん撲滅に燃える日本の名医をご紹介しています。
これをお読みいただければ最先端治療の実体と名医の条件、そして効率の良いがん治療についての知識が豊かになるはずです。受診前の予備知識としてもご活用ください。
今や国民の2人に1人が罹患するがん。健康な方も身内にがん患者さんのいらっしゃる皆さんも、ぜひご一読ください。
そのうえで匠ドクターズの皆さんにセカンドオピニオンを受診してみてください。皆、予約が取りにくい名医中の名医ですが、目的はあなたの『社会復帰』です。遠慮はいりません。
つまり、あなたの『社会復帰』を応援してくれる医師だけが名医なのです。治療を続けることが目的ではないのです。そうした現状を把握したうえで、引き続き、我々の『がん撲滅サミット』は皆さんを応援して参ります。そして6月9日の『第一回がん撲滅サミット』開催を心からご支援くださった皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
暑くなって参りましたが、どうぞご自愛ください。 |